こんにちは!
滋賀県近江八幡市で、
創業天保元年から6代続く石屋、
兼子石材店の店主・兼子裕司です。
自己満足かも分かりませんが、
ものづくりが大好きで、42年間石屋をやってきたワシの経験と思いを書いているブログです。
お墓を建てる時、
石屋から図面を見せてもらうことがあると思います。
今、うちの店では、
お客様に分かりやすいように、
図面の寸法はミリで書いています。
例えば、
300ミリと書いてあれば、
出来上がった石も300ミリ。
普通はそう思いますよね。
でも実際に出来上がった石を測ってみると、
図面に書いてある寸法より少し大きい。
「図面と寸法が違うやん。」
と思われるかもしれません。
でもこれ、
間違って作ってあるわけではありません。
今日は、
「図面より、お墓の石が大きい?」
について書いていきたいと思います。
石屋は昔から、
寸法を「寸」や「尺」で表すことが多いです。
1寸は約30.3ミリ。
1尺は約303ミリです。
建築石材では昔からミリを使っていますが、
お墓の石では今でも、
「8寸」
「9寸」
「1尺」
などと言います。
そして石屋には昔から、
「分伸び」
というものがあります。
例えば、
注文した寸法ピッタリに作るのではなく、
2分や3分ほど大きく作ります。
1分は約3ミリなので、
3分なら約9ミリです。
これが幅だけというわけではありません。
幅も奥行きも高さも、
基本的に分伸びして作ってあります。
ワシは石屋になった時から、
これが当たり前でした。
なぜ昔から分伸びして作るのか。
そう言われると、
実はワシも教えてもらったことがありません(笑)
「石屋はそういうもんや。」
と思って42年間仕事をしてきました。
うちの店では、
国産の石と中国加工の石では、
仕入れている問屋が違います。
国産の石は今でも分伸びしてあり、
その時によって多少違いますが、
3分ほど大きく作ってあることもあれば、
2分5厘くらいの時もあります。
ところが中国加工の石は、
ほとんど分伸びしていません。
問屋から聞くと、
中国へはミリで寸法を出して発注しているようです。
中国加工の石を使い始めた頃、
ワシはこの分伸びがないことが気になって、
問屋によく文句を言っていました(笑)
「なんで分伸びしてへんのや。」
って。
もちろん、
分伸びしていないからといって、
施工に問題があるわけではありません。
分伸びしていなくても、
お墓として何の問題もありません。
でも、
ずっと分伸びした石を見てきたワシからすると、
3分ほど大きいだけでも、
見た感じが違うんです。
一般の方が見ても、
多分分からないと思います。
ほんの数ミリの世界です。
でも石屋から見ると、
その数ミリが気になる。
長年石を触っていると、
そんな所も見るようになるんでしょうね(笑)
今では、
お客様に分かりやすいように、
図面はミリで書くようにしています。
でも実際に出来上がってくる国産の石は、
昔ながらの「分伸び」で少し大きく作ってある。
もし、
お墓の図面を見ながら実際の石を測って、
「図面よりちょっと大きいやん。」
と思われても、
作り間違いとは限りません。
石屋には昔から、
こんな寸法の考え方もあるんです。
一般の方には、
ほとんど関係のない話かもしれません。
でも、
42年間石屋をやってきたワシにとっては、
今でも当たり前の「分伸び」。
こんな所にも、
昔から続いている石屋の仕事のやり方が残っています。