こんにちは!
滋賀県近江八幡市で、
創業天保元年から6代続く石屋、
兼子石材店の店主・兼子裕司です。
自己満足かも分かりませんが、
ものづくりが大好きで、42年間石屋をやってきたワシの経験と思いを書いているブログです。
お墓には色んな文字を彫ります。
正面に彫る「南無阿弥陀仏」や家名、
墓誌には戒名や亡くなられた年月日、年齢など、
たくさんの文字を彫る場合もあります。
では、
その文字を石に彫る前に、
石屋は何回くらい確認しているのでしょうか?
今日は、
「お墓の文字、彫るまでに何回確認する?」
について書いていきたいと思います。
うちでは、
石に文字を彫る前に、
必ずお客様に原稿を確認してもらっています。
これは100%しています。
なんせ石に彫ってから、
「文字が違っていました。」
では、えらいことになります。
うちでよく彫る「南無阿弥陀仏」は、
親父が昔、書いてもらった『南無阿弥陀仏』の字が残してあります。
9寸の和型用に書いてもらった字なので、
ほぼ原寸です。

親父の代から残してある「南無阿弥陀仏」の原稿です。
その字をお客様に見てもらって、
確認してもらいます。
それ以外の文字は、
パソコンで原稿を作って確認してもらっています。
こちらは縮小した原稿になります。
でも、
お客様に確認してもらったから、
それで終わりではありません。
ワシも何回も見直します。
原稿が出来上がった時にも、
数回見直します。
文字を彫るためのゴムを切った後にも見ます。
もちろん、
実際に石に彫る前にも、もう一度見ます。
「そんなに見直さんでもええやろう。」
というぐらい見直しています(笑)
これはワシの性格なのかもしれません。
でも、
そこまで確認するようになったのには、
理由があります。
ワシの代になってから、
実際に文字を彫り間違えたことが2回あります。
一度は墓誌でした。
6人か7人分の戒名などを彫る仕事で、
お施主様からいただいた原稿をもとに原稿を作り、
確認にも持って行きました。
でも、
元の原稿に間違いがあり、
お施主様も確認の時には気づかれませんでした。
人数が多くなると、
戒名、年月日、年齢など、
全部の文字を確認するだけでも大変です。
これはワシの勝手な想像ですが、
お客様も、
「石屋さんが作った原稿やから間違ってないやろう。」
と思って見ておられることもあるんじゃないかと思います。
もう一度は、
ご住職が書かれた文字でした。
ワシも、
「ご住職が書かれた字やから間違いないやろう。」
と思って彫りました。
ところが、
彫ってから文字が違っていることが分かりました。
やっぱり、
誰が書かれた文字でも、
確認することは大事なんやと思いました。
こんなこともありました。
記念碑で文字数が多かったので、
文字彫刻を外注に出したことがあります。
出来上がった原稿が確認のため送られてきたので、
ワシが見てみると、
2、3か所文字が違っていました。
たまたまその時に問屋さんが来たので、
その原稿を見せて、
「どこか間違ってないか?」
と確認してもらいました。
でも、
「間違ってないと思います。」
という返事でした。
ワシがもう一度確認すると、
やっぱり違っていました。
その時、
「やっぱり最後は自分がちゃんと見んとアカン。」
と思いました。
お客様に確認してもらったから大丈夫。
ご住職が書かれたから大丈夫。
専門の業者に頼んだから大丈夫。
そう思ってしまうこともあります。
でも、
最終的にその文字を石に彫るのは、
ワシら石屋です。
製品が納入されてから、
お墓を据え付けるまで何度も確認するのと一緒です。
文字も、
何回確認しても確認しすぎることはないと思っています。
それにワシは、「どこか間違っている」と思って見直しています。
一度石に彫ってしまった文字は、
簡単に元には戻せません。
だからワシは、
原稿を何回も見て、
ゴムを切ってからも見て、
彫る前にも、もう一度見る。
「もうええやろう。」
というぐらい見ています(笑)
それでも最後は、
自分の目でちゃんと確認する。
42年間石屋をやってきて、
やっぱりそれが大事なんやと思っています。