こんにちは!
滋賀県近江八幡市で、
創業天保元年から6代続く石屋、
兼子石材店の店主・兼子裕司です。
自己満足かも分かりませんが、
ものづくりが大好きで、42年間石屋をやってきたワシの経験と思いを書いているブログです。
お墓は、何段もの石を重ねて建てていきます。
では、加工されてきた石を、
下から順番に真ん中へ重ねていけば良いのでしょうか?
そういうわけではありません。
ワシら石屋は一段石を据えるたびに、
水平を見て、
石を置く位置も確認しています。
今日は、
「お墓の石は、真ん中に重ねれば良い?」
について書いていきたいと思います。
ワシらのあたりで多い京都型の和型のお墓は、
左右は上の石が真ん中に来るように据えます。
そこで確認するのが、
「チリ」の寸法です。
チリとは、
石の上にもう一つ石を重ねた時にできる、
石と石の出幅のことです。
左右のチリを差し金で測って、
同じ寸法になるように合わせます。
では前後も、
真ん中に据えるのか?
そうではありません。
京都型の和型のお墓は、
少し後ろ寄りに石を据えるので、
前のチリが広く、
後ろのチリが狭くなります。
なぜ昔からこのような形になっているのかは、
ワシにも分かりません。
ワシが石屋を始めた時には、
すでにこの据え方でした。
今、石を据える時は、
まず四隅に厚みが2ミリほどのゴムを置いて、
ボンドを付けずに石を仮置きします。
そして水平器を当てて、
前後、左右の水平を確認します。
大きな石なら、
場所を変えて何か所か見ることもあります。
ワシが頼んでいる問屋は製品の精度が良いので、
石を載せるとほとんど水平は出ています。
それでも、
「たぶん大丈夫やろう。」
では次へ進みません。
もし水平が出ていなければ、
鉛を入れて調整します。
水平が決まったら、
もう一度石を吊り上げてボンドを付けます。
そして、もう一度石を下ろします。
この時も、
そのまま完全には下ろしません。
石が下りたか、下りていないかぐらいのところで止めて、
差し金でチリの寸法を測ります。
左右、前後。
少し位置が違えば手で動かし、
あと少しならゴムハンマーで軽く叩いて調整します。
チリが決まったところで、
石を下ろします。
これで一段終了。
そして次の石へ進みます。
石を一段据えるたびに、
これを繰り返します。
置いて終わりのところは、
どこもありません。
問屋で寸法通りに加工されている石でも、
水平とチリは必ず一段ずつ確認します。
次に乗せる石がどうなっているかは、
乗せてみないと分かりません。
わずかな違いで水平に戻るかもしれませんし、
反対に、
もう少し調整が必要になるかもしれません。
だから一段ずつ、
その段できちんと据え付けてから次へ進みます。
ところが、
きちんと据わったのに自分で動かしてしまうこともあります(笑)
水平もチリも合わせて、
「よし、これでええ。」
となった後、
チェーンブロックを下げなあかんのに、
間違えて上げてしまう(笑)
せっかく据わった石が、
また動いてしまいます。
そんな時はもちろん、
もう一度差し金を当てて、
きちんと据え直します(笑)
チリが1ミリ、2ミリ違っていても、
一般の方が見て分かることはないと思います。
石屋が見ても分からないと思います。
ワシ自身も、
見ただけでは分かりません(笑)
差し金を当てて測って、
初めて分かるぐらいの違いです。
水平器も、
気泡が線の中に入っていればええ、
というわけではありません。
ワシは、ど真ん中に合わせたい(笑)
「そこまでせんでもええやろ。」
と思われるかもしれません。
でもワシは、
決めた寸法にきちんと合わせておきたい。
誰が見ても分からないかもしれません。
それでも、
ワシがちゃんとしておきたいんです(笑)
お墓は、
石を順番に重ねれば出来上がるものではありません。
一段据えたら水平を見る。
差し金でチリを測る。
きちんと据わったことを確認して、
次の石へ進む。
そんな一段一段の積み重ねで、
一つのお墓が出来上がっていきます。