こんにちは!
滋賀県近江八幡市で、
創業天保元年から6代続く石屋、
兼子石材店の店主・兼子裕司です。
自己満足かも分かりませんが、
ものづくりが大好きで、
42年間石屋をやってきたワシの経験と思いを書いているブログです。
皆さんは、古いお墓の文字をじっくり見たことがありますか?
お墓の正面には、
「南無阿弥陀仏」や「○○家之墓」などの文字が彫ってあります。
建てたばかりのお墓は、
文字の中もきれいです。
では、何十年も経つと、
その文字はどうなるのでしょうか?
実は、
年月が経つにつれて、文字が見やすくなるお墓もあるんです。
今日は、
「お墓の文字は、年月が経つとどう変わる?」
について書いていきたいと思います。
ワシらの地域では文字に色を入れない
ワシらの地域では、
お墓の正面文字や建設年号、
お施主様の名前などに、
基本的に色を入れません。
石に文字を彫って、
そのまま仕上げます。
地域によっては、
文字の中に白や黒などのペンキを入れたり、
中には、
金箔を貼ってあるお墓もあります。
ペンキを入れると、
確かに文字は見やすくなります。
でも、ワシは正直なところ、
お墓の文字にペンキを入れるのが好きではありません。
文字は、
きちんと彫って見せるものやと思っているからです。
サンドブラストで文字を彫る場合、
ある程度の深さまで彫っておかないと、
少し離れた場所から見ると、
文字が見えにくいようにワシは思います。
ペンキを塗れば文字は見やすくなりますが、
ワシには、
彫り方で見せるべきところを、
ペンキで補っているように思えてしまいます。
それに、
お墓の石はピカピカに磨いてあります。
こんなことを言うのも何ですが、
ワシは文字にペンキを入れると、
少し派手になりすぎるように思うんです。
墓地という場所を考えると、
色を入れず、
彫った文字そのものを見せる方が、
落ち着いていて良いように思います。
もちろん、これはワシ個人の考えです。
年月が経つと文字が見やすくなる?
文字に色を入れていないお墓でも、
何十年も経つと、
文字の中に水垢が付いて、
黒っぽくなることがあります。
そうすると、
建てた時よりも文字がはっきり見えることがあるんです。
全部のお墓がそうなるわけではありません。
不思議なことに、
文字の中に水垢が付いているお墓のすぐ横に、
ほとんど付いていないお墓があることもあります。
同じ石種のお墓でも、
そんな違いが出ることがあります。
何でこんな違いが出るんやろう?
ワシも長年石屋をやっていますが、
こればっかりは、いつも不思議に思っています。
文字をきれいにすると見えにくくなる?
以前、お客様から、
文字の中に付いた水垢をきれいにしてほしいと頼まれたこともあります。
もちろん、きれいにすることはできます。
専用の洗剤を使って洗うこともありますし、
高圧洗浄機だけで落とせる場合もあります。
ただ、その時には必ず、
「きれいにしたら、今より文字が見えにくくなりますよ。」
と説明するようにしています。
きれいにした後で、
「前の方が文字が見やすかった。」
とならないように、先に説明しています。
水垢もお墓の味の一つ
ワシは、文字の中に自然に付いた水垢も、
お墓の味の一つやと思っています。
もちろん、
コケが生えているようなら、
取った方が良いと思います。
でも、文字の中に水垢が付いて、
それによって文字が見やすくなっているのなら、
無理に取らなくても良いのではないでしょうか。
お墓は建てた時が一番きれいかもしれません。
でも、何十年も経ったお墓には、
新しいお墓にはない良さもあると思います。
文字の中に自然に付いた水垢も、
その一つです。
ワシは、そんな年月を重ねたお墓も好きなんです。
最後にメッセージ
お墓は、
建てた時のきれいさだけが全てではないと思います。
何十年という年月の中で、
少しずつ見た目も変わっていきます。
もちろん、
掃除をしてきれいにすることも大切です。
でも、年月を重ねたお墓には、
そのお墓にしかない良さもあると思います。
ワシは、
そんなお墓も大切にしていきたいと思っています。